2011年07月15日

三菱重工、加圧水型軽水炉原子力発電所の安全対策への対応を強化


三菱重工業は、8月1日付で「安全高度化対策推進室」を原子力事業本部内(神戸)に新設し、西日本の電力会社で採用が多い加圧水型軽水炉(PWR)を使用した原子力発電所の安全対策への対応を強化すると発表した。

同社は、3月11日の東日本大震災直後に安全対策本部をタスクフォースとして立上げ、東京電力福島第一原子力発電所で起きた全交流電源喪失への対策をPWR原子力発電所へ展開するなど、各種緊急安全対策へ全力で対応してきた。

しかし、今後、政府の事故調査結果に基づく新たな安全基準の整備が予想されるほか、非常用電源や海水ポンプが使用不能となった場合の対策、さらにはストレステストの実施など、中期的な対応強化が必要となることから、専任組織を設置することとした。

新組織はベテラン技術者を含めた約20名で構成。新たな安全コンセプトや各種計画を実際の詳細設計や工事に展開するとともに、新設プラントを所掌する軽水炉プロジェクト部や、既設プラントを所掌する原子力保全技術部などとの連携をはかって、PWR電力各社の要請に迅速に応えていく。

同社は、PWR原子力発電所の一層の安全強化を原子力事業の当面の最重要課題と位置づけ、安全対策をPWR電力各社とともに全力で取り組んでいくとしている。


posted by 北海道頑張れ at 03:58| 原発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月10日

【スマートグリッド最前線】トヨタが取組むスマートグリッド、クルマのEV化への挑戦


 電気を貯蔵する機能を持ち、必要なところに必要なだけ供給することができる次世代送電網、スマートグリッドへの関心は、世界的に高まる一方だ。

 今は東日本大震災後という時節柄、電力不足の緩和効果や再生可能エネルギーの有効活用、エネルギーの地産地消といった点が注目されがちだが、スマートグリッドの効能はそれだけではない。各国がスマートグリッドの導入に動き始めている大きな動機のひとつに電気自動車(EV)普及への対応がある。

 クルマはもともとエネルギーを大量に消費する乗り物で、EVの場合も100km走るのに使う電力の量は、平均的な一般家庭の一日分に匹敵する。今はまだEVの台数がごく少ないために、トータルの使用電力量は取るに足らないものだが、EVの台数が増えれば、エネルギーをどう供給するかということが深刻な問題となるのは確実だ。

 世界の自動車メーカー各社はEVを活用するためには、電力供給を能動的にコントロールできるスマートグリッドが必要になると考えており、現在さまざまな実証実験が行われている。その中でも先進的な取り組みを展開している一社として知られるのが、日本のトヨタ自動車である。

■自動車業界、“100年に一度”の技術革新

 「東日本大震災を境に、日本においてもスマートグリッドは社会に必要な技術だという意識が大いに強まったように思います」とトヨタでスマートグリッド開発やビジネス展開を手がけるe-TOYOTA部BRスマートグリッド企画グループの永井真澄グループ長は語る。

 日本のこれまでの電力システムは、平時においてはきわめて有効に機能してきた。電力不足による停電はほとんどなく、電圧や周波数の安定性という点でも一流だった。そのためスマートグリッドなど本当に必要なのかという声も少なくなかったのだ。実際、東京電力は電力政策についての会合などで「電力平準化なんかしなくても安定供給に問題はない。CO2低減は原子力発電を増やせば大丈夫」といった発言を繰り返していた。

 「震災でエネルギー供給に不安が生じたことで、そういった空気は一変しました。トヨタは今後プラグインハイブリッドカーやEVを普及させていきたいと考えているのですが、電力は無尽蔵ではありません。そのためには、スマートグリッドを使っていかに効率的にEVに充電していくかということを考える必要があるんです」(永井氏)

 自動車業界では今、クルマのEV化への挑戦が始まっている。08年秋のリーマンショックで“百年に一度”というフレーズが流行したが、クルマの世界において、EV化は19世紀後半にエンジンを使ったクルマが走り始めて以来最大という、まさに百年に一度というレベルの技術革新なのである。

 クルマはこれまで、一次エネルギーを使って走るものが大多数を占めていた。一次エネルギーとは、石油、石炭、ガスなどの燃料、太陽エネルギー(光、熱)、風力、水力、地熱、核分裂、植物などのことである。それに対してEVや燃料電池車が使うのは、電気や水素などの二次エネルギーだ。

 一次エネルギーを使ってクルマを走らせる場合、ほぼ石油やガスに頼り切ることになる。他の一次エネルギーを直接利用するのは大変だからだ。技術的に風で走らせようとすれば巨大な帆を張らなければならないし、そもそも風がなければ走れない。原子力自動車に至っては23世紀くらいにならねば無理かもしれない。

 しかし、水素や電気などの二次エネルギーを使ってクルマを走らせられるようになれば、どのような一次エネルギーもクルマに使えるようになる。クルマそのもののエネルギー効率を大幅に向上させられることはもちろん、原油価格の高騰リスクを回避したり、CO2排出量を削減したりといった、クルマに対する社会的要請に応えるには、EVや燃料電池車の普及は非常に有効な手段なのである。

 しかし永井氏は「クルマの消費電力は非常に大きい。EVの普及が進めば、世の中の電力の1割はEVが食うようになって、たちまち電力不足に陥ってしまうでしょう。いかに効率的に充電するかということを考えていかなければ、EVが増えることで社会に迷惑をかけてしまう。トヨタがスマートグリッドの研究に力を入れているのは、その解決法を探るためでもあるんです」と語る。

■トヨタが取り組む次世代エネルギープロジェクト

 昨年9月、トヨタは青森県六ヶ所村で、風力発電事業を手がける日本風力開発、スマートグリッド技術を持つパナソニック電工、日立製作所と共同でスマートグリッドの実証実験を行ってきた。住宅6戸という、マイクログリッド(小規模スマートグリッド)としてもミニマムな規模だが、風力発電で得られたエネルギーだけで家の電力のすべてを賄うという先進的なスマートタウンだ。

 そこでトヨタが行っているもののひとつに、トヨタスマートセンターというシステムの検証がある。EVや住宅の電力使用状況の情報を受け取り、その時によってEVの充電をしたほうがいいのか、別のことに電力を振り分けたほうがいいのかといったことをある程度自動で制御して、CO2排出量と電気代の安さのバランスが最良となるように集中管理するものだ。また、クルマのバッテリー残量などが端末で視覚的にわかるテレマティクス、トヨタ・スマートビジョンについても知見を得ているという。

 「このプロジェクトは4社のみで行う完全な民間プロジェクトです。それだけに実証実験はとてもフレキシブルに行うことができ、スピード感も素晴らしい。EVをスマートグリッドの中で活用するための要素技術を大いにブラッシュアップできました」(永井氏)。

 技術だけでなく、EVをどう活用すべきかということについてのノウハウも蓄積された。大量の電力を消費するEVをなるべく安価に運用するには、深夜電力の使用が有効とよく言われる。しかし単純に深夜電力帯に充電すればいいというわけではない。深夜電力に切り替わった直後に充電するEVが急増した場合、それだけで電力の状況に大きく影響してしまうからだ。

 この六ヶ所村スマートグリッド実証実験に加え、トヨタはそれよりはるかに規模の大きなスマートグリッド実証実験にも参加する。9月に始まる豊田市の低炭素社会システム実証プロジェクトがそれだ。その実証実験に使うためのトヨタホーム製スマートハウスの販売も6月3日から始められている。永井氏は「そのプロジェクトの中では、トヨタスマートビジョンについてさらに高度な実験を行います。六ヶ所村ではクルマの状態について情報提供を行いましたが、豊田市ではさらに家の情報をプラスして、人、クルマ、家をつなぎます。この実験は、将来的に海外で本格的なテレマティクスを提供するための基盤となるべきもの。非常に重要です」と述べた。

■莫大な通信量などを処理するIT技術が課題に

 必要なところに必要な電力を供給するスマートグリッドを実現するうえで重要な役割を担うのはIT技術だ。EVやスマートホームの数が増え、さらにテレマティクスサービスの提供地域も拡大していけば、通信量や情報処理量は莫大なものになる。それにつれて、トヨタはシステムをロケーションや規模が制限されるセキュアデータセンター方式からクラウド方式へと転換。マイクロソフトと提携し、スピーディに移行を図っていく構えだ。「単にデータの処理だけでなく、不特定多数のデータからユーザーの特徴的な行動を見つけ出すデータマイニングも強化していく」(永田氏)という。

 このように、スマートグリッド下においてEVを有効活用するスキームづくりを加速させているトヨタ。今後は情報通信のハードウェアについても、3GだけでなくWi-Fi、WiMAXなどを多角的に試していくことになりそうだという。

 その一方で、昨今話題になっているV2H(ビークル・トゥ・ホーム)、V2G(ビークル・トゥ・グリッド)など、EVのバッテリーをスマートグリッドに還流させる技術については、国によってニーズ差があるとしながらも、ある程度距離をおいている。

 「電力系統がしっかりしている国では、V2Gの需要は小さいと思います。V2HのほうはV2Gよりはニーズが高いでしょうが、トヨタとしてはそれも急いでやらなければと考えているわけではありません。まずはEVが社会全体における電力消費のじゃまにならないエネルギーの使い方を確立させることが重要。V2Hを本格的にやるとしても、その後の話だと思います」(永田氏)

 自動車メーカーの中で、トヨタはEV側やテレマティクスだけでなく、グリッド側にまで踏み込んだ研究開発を行っている数少ない存在の一社だ。そのトヨタがEV、燃料電池車、プラグインハイブリッドとスマートグリッドの関係づくりでどのような提案を行うか、今後の動向から目が離せない。

《井元康一郎》
posted by 北海道頑張れ at 04:06| 発電 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

【スマートグリッド最前線】未来都市「藤沢SST」を建設するパナソニックの狙い


 東北大震災にともなう原発事故、送電網の喪失の影響で、電力不足の危機に晒されることとなった日本。太陽光、風力、地熱などの再生可能エネルギー開発や、それらを有効活用するための次世代送電技術スマートグリッドへの関心は、以前にも増して高まっている。

 電機メーカー大手のパナソニックが5月26日、スマートグリッドに関する新たなプロジェクトを発表した。再生可能エネルギーで、街全体が必要とするエネルギーの半分以上をまかなうことを可能とする、次世代スマートタウンの建設計画である。

 再生可能エネルギーで必要なエネルギーを賄うスマートタウンの実証実験はこれまでも日本各地で行われてきたが、「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(藤沢SST)構想」と名付けられたパナソニックのプランには、それらの実証実験と決定的に異なる点がある。技術を試す実証実験ではなく、ビジネスベースの大規模な不動産開発であるということだ。

 パナソニック藤沢工場跡地6万坪に建設される藤沢SSTは、1,000世帯3,000人が居住可能という本格的な住宅区域だが、その内容を見ると、まさに未来都市そのものというイメージだ。

 タウン内には集合住宅と戸建住宅が立てられるが、その全戸に発電のためのソーラーパネルと、その電力を蓄えるためのリチウムイオン電池が装備されるという。さらに公共施設の屋上などのパブリックスペースにもソーラーパネルが設置される。

 住宅や公共施設の太陽電池は、今日のようなスタンドアロン(孤立)型ではない。施設にはそれぞれSEG(スマートエネルギーゲートウェイ)と名付けられたエネルギー管理装置が備えられ、それらを介して街全体のネットワーク化が図られる。今日、世界では家々の間で電力を相互融通することでエネルギーを有効活用するH2H(ホーム・ツー・ホーム)の実験が行われているが、藤沢SSTはそれを街全体で行うのだという。

 もちろん太陽光発電は万能ではない。太陽光発電は夜間は発電できず、昼間でも晴天以外ではがっくりと発電量が落ちる。蓄電装置に蓄えた電力を使い、さらに電力が足りないところが出てきた場合、街の中で電力を相互融通しようにも間に合わない場合、電力会社の系統電力から供給される電気で補う。しかし、それも街の家々がバラバラに系統電力とつながるわけではなく、藤沢SSTが全体で系統電力から電力供給を受ける形となる。

 再生可能エネルギーでエネルギーの過半をまかない、CO2排出量を同じ規模の普通の街に比べて実に70%削減することを目指すという。一見夢物語のようにも思える話だが、パナソニックの大坪文雄社長は「2013年度には街びらきする予定」と、実現に自信を示す。
 この藤沢SSTのシステムは、一般にはマイクログリッドと呼ばれるもの。マイクログリッドとは次世代送電技術スマートグリッドの一種だが、県単位、市単位といった大きなくくりではなく、町単位、ビル単位といったもっと規模の小さなコミュニティの中で電力を効率的に活用することを特徴としている。

 広域スマートグリッドが技術やコスト面で実現へのハードルが高いと言われているのに対し、マイクログリッドは早期に実現可能という見方はこれまでもあったが、藤沢SSTのような本格的なスマートタウンを商用ベースで作り上げるのは、事実上世界初である。

 もちろんこのプロジェクト、簡単というわけではない。ハイテクを盛り込んだ街の開発に際しては巨額の資金がかかる。予定される総工費は実に600億円。1,000世帯が居住可能としても、集合住宅、戸建住宅を平均して1戸あたり6,000万円もかかることになる。

 プロジェクトの総コストのうち、パナソニックが負担するのは4割強に相当する250億円。商用が基本とはいえ、このプロジェクト単独で採算性を確保するのが困難なことは容易に推測できる。

 それでもパナソニックが計画を推し進めるのはなぜか。背景にあるのは、藤沢SSTを通じてマイクログリッド作りのノウハウを積み上げ、街づくりそのものをパッケージとして世界に輸出していきたいという思惑だ。「世界のスマートシティ構想の中でも先進的な藤沢モデルを発信したい」と、大坪社長は会見で意欲を示した。また、国内でも東日本大震災でインフラが丸ごと喪失してしまった被災地の復興に言及。「街づくりは持続可能であることに加え、安心・安全も問われるようになった。被災地復興にもお役に立てると思う」と、先進技術を被災地復興に投入していきたいという考えを示した。

 パナソニックは家電メーカー最大手の企業として知られてきたが、円高や新興国メーカーの攻勢などによって一時は厳しい状況に追い詰められた。今はその苦境からは脱しているが、以前のように白物家電を主体に成長していくことはもはや現実的ではない。大坪社長はパナソニックの次世代戦略は一にも二にも環境技術だと言う。経営のスローガンとして掲げているのも「エレクトロニクスNo.1の環境革新企業」だ。

 その環境技術でしばしば注目されるのは、昨年子会社化を実施した三洋電機のリチウムイオン電池やソーラーパネル、同じく子会社化したパナソニック電工の持つ電力マネジメント技術、家電の省エネ技術などだ。パナソニックが長期的に狙いを定めているのは、単にそれらの技術を使った商品をバラバラに売るだけというビジネスからの脱却だ。

 省エネルギー技術は面白いもので、複数の商品をうまく組み合わせれば、いわば1+1=3のように相乗効果で節約量を劇的に稼げるというところがある。家電を含め、家の中、ビルの中のものは何でも作れると自負するパナソニックは、省エネルギーのトータルソリューションを提供することで付加価値を上げようと考えているのである。藤沢SSTのようなマイクログリッドは、その次世代戦略の頂点に立つ存在なのだ。

 実はパナソニックは、マイクログリッド関連の輸出も行っている。中国・天津のエコシティは、現在進行中の案件のひとつだ。パナソニック単体ではなく、日立製作所と共同のビジネスで、日立が地域のエネルギー管理、パナソニックはマンションや家のエネルギー管理を担当している。

 天津エコシティの設備導入に携わっているパナソニック・エナジーソリューション事業推進本部の天野博介氏は、現地でのスマートグリッドの“熱気”について語る。「中国のスマートグリッドへの期待はすごいものがあります。急速な経済成長に電力供給がまったく追いつかず、慢性的な電力不足が起きているからです。日本では震災で計画停電が話題になりましたが、現地では日々、計画停電ですよ。経済成長のためにも国民の暮らしのためにも、再生可能エネルギーや次世代送電網はすでに必要不可欠なものと考えられているんですね」

 中国の電力消費量は、2007年時点で90年に比べ実に5倍にまで増えている。さらに今年から10年間で2倍に増えるという予測も一部にあるほどだ。中国は電力需要増に対応しようと、多数の水力発電所や原子力発電所の建設計画を打ち上げているが、いくらハイペースで発電所を作ったところで、電力需要増があまりに急激すぎて、とても追い付けるものではない。

 「中国は天津エコシティにとどまらず、その後も地方都市のエコシティ化など、いろいろなところでスマートグリッド化を図っていく計画を持っています。エネルギー不足だけでなく、農村と都市の格差是正も目的の一つ。この格差問題は今、とても深刻なものとなっていますが、所得の低い人たちの収入をすぐに上げるのは難しい。ならば当面、豊かな電力供給によって質の高い暮らしを提供し、不満を解消しようという意図があるんです」(天野氏)

 天津エコシティはパナソニックにとって、本格的なスマートグリッドビジネスの草分け的な計画だが、「技術的にはまだまだ第1世代。我慢しながら省エネをするのではなく、快適な暮らしを保ったまま電力のピークカット(電力需要の最大値を下げ、発電所の設備量への依存度を減らすこと)を実現していく必要がある。そのためには街全体をサスティナブル(持続可能)なものに作り変えていかなければ。藤沢SSTは、いわば第2世代以降の技術のベースになるもの。3.11の東日本大震災は、われわれにも本当に多くの教訓を残しました。まさに今、新しい変革を起こす必要がある」(天野氏)。

 藤沢SST構想に際して、パナソニックは都市開発に必要なスキルを持つ多くの企業とタッグを組んだ。プロジェクト発表会見の席に登場したのはパナソニックの大坪文雄社長だけではない。建設地である神奈川県・藤沢市の海老根靖典市長、さらにコンサルティングの世界トップ企業であるアクセンチュア、総合不動産会社の三井不動産、住宅メーカーのパナホーム、総合商社の三井物産、都市ガス国内最大手の東京ガス、リース事業のトップ企業オリックス、信託金融大手の住友信託銀行、環境都市デザインで世界的に知られる日本設計――と、この計画に参加する有力企業の社長、会長や名代の幹部が出席し、次世代都市である藤沢SSTへの大いなる期待を表明したのだ。

 パナソニックはマイクログリッドを用いたスマートタウンを実証実験段階から商用段階へと移行させるには、3つの力が必要だと考えた。まずは「スマートタウンを全体設計し、開発する力」、次に「それを持続的に運営する力」、そして「作り上げたシステムを世界の都市に提案する力」だ。

 世界のスマートグリッド構想を見ると、コンサルや金融も含め、多種多様な企業のジョイントベンチャーが組まれていることが多い。もともと都市計画は“ものづくり”の中でも最も大規模なものの一つで、多くの分野の企業がノウハウの粋を集めて初めて良いものができるというものなのだ。スマートグリッドやマイクログリッドといった次世代の都市構想となれば、なおのことである。パナソニックとこれらの企業群を見ると、ネームバリュー、ビジネスパワーとも、世界をリードしていくためのボーダーラインはクリアしているように見える。

 もっとも、実際に性能が良く、コスト競争力もあるマイクログリッド、スマートグリッド作りを確立できるかどうかは今後の努力次第。藤沢SSTがそのモデル事業となれるか、今後の展開は注目に値しよう。

《井元康一郎》
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2011年07月07日

被災地にメガソーラー建設…3万世帯分の電力


 大手商社の三井物産が、東日本大震災の被災地である宮城、岩手、福島県などに大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設する方針を固めたことが6日、わかった。

 被災地の電力不足を解消して復興への足がかりを提供するとともに、雇用の場を提供する狙いがあり、早ければ今年度中にも着工する方向だ。被災地域で初のメガソーラー計画で、すでに候補地の自治体や、電力の売り先である東北電力と協議を進めている。

 三井物産は、複数地点にメガソーラーを建設する計画だ。発電能力は計約10万キロ・ワット規模とする方向で、被災地の約3万世帯の電力を賄えるという。年間を通じて風が強い地点には、風力発電装置も併設することも検討している。
posted by 北海道頑張れ at 03:20| 発電 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月05日

橋下知事、朝令暮改…「庁舎節電やめる」やめる


 「庁舎節電をやめる」と4日午前に表明していた大阪府の橋下徹知事は同日午後、一転して「庁舎での節電はしっかりやっていく」と引き続き節電に取り組む意向を示した。

 府庁舎の電力は大阪ガスなどが出資する「エネット」から調達しており、「節電に意味はない」としていたが、幹部会議で異論が出たことを受け、朝令暮改となった。

 幹部会議では、「節電を続けながら、関電に対し、エネットから余剰電力を買って供給能力を上げるよう訴えた方が建設的だ」などの指摘が相次いだという。

//comment
どっちやねん(笑)。しかし結果として朝令暮改にはなりましたが、他人の話をちゃんと聞いて正しいものは即座に取り入れる、その姿勢は素晴らしいと思います。滑稽に見えることもありますが、即断即決、そして決めたことには責任を取ること、それはリーダーに欠かせない資質です。
posted by 北海道頑張れ at 03:45| 節電 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月04日

<脱原発>50年の経済影響なし 東京大准教授試算


 2050年に「脱原発」を実現した場合の国内の経済影響はほとんどないとの試算を、茂木源人(げんと)・東京大准教授(社会戦略工学)がまとめた。太陽光パネルをすべて国内で生産し、未利用の土地を活用することなどの条件が前提で、実現には政府の姿勢が鍵になりそうだ。

 試算は電力会社の依頼を受け実施した。

 現在、日本の電源は原発約3割、火力約6割、太陽光を含むその他が約1割。試算では、太陽光パネルの寿命は20年で、発電量は年率1%で劣化するとした。50年までの電力需要を考慮し、(1)原発を段階的に廃止し、その分を太陽光が代替する(2)原発はそのままで、太陽光が普及していく分、火力を減らす(3)原発はそのままで、太陽光は住宅への普及限度の1000万戸まで増え、その分の火力が減る−−の3ケースで分析した。

 その結果、50年の国内総生産(GDP)は、(1)536兆円(2)533兆7000億円(3)536兆1000億円で、ほぼ同レベルになった。

 この理由を、(1)と(2)で太陽光パネル製造や設置費など40年間で162兆8000億円が投入され、製造工場などで雇用が生まれるためと説明している。

 東日本大震災前の原発の平均発電量を得るには、1万平方キロの設置面積が必要だが、現存の耕作放棄地などを活用すれば可能という。

 一方、電力料金については、20年代半ばに1キロワット時あたり0・6円上がるが、大量生産が実現する30年に元に戻ると分析した。

 茂木准教授は「当初の太陽光発電のコストは他電源より高いが、国内ですべて生産すれば経済の足を引っ張ることはない」と話す。【藤野基文】

//comment
休耕田に太陽光発電を設置することにはやぶさかではないと、どこかの大臣が言っていた気がします。
あとは割高になっても国内で生産できるかどうかが鍵でしょうか。
どちらにせよ今の政府には何も決められない気がしますが……。
posted by 北海道頑張れ at 09:11| 原発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月03日

20年後の電気料金、原発撤退なら月2千円増


 東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、原発存続の行方が注目される中、日本学術会議の分科会(委員長=北沢宏一・科学技術振興機構理事長)は、原発の撤退から現状維持・推進まで六つの政策の選択肢ごとに、標準家庭(1か月約6000円)の電気料金が、どれくらい増えるかの試算をまとめた。

 原発を放棄し、太陽光などの再生可能エネルギーに移行した場合の負担は大きく、逆に維持すると負担は小さくなるが、同分科会は、今後、原発の安全規制が強化され、存続しても負担増になる可能性もあると指摘。秋にも最終報告をまとめる。

 試算は、エネルギー政策の議論に役立てるのが狙い。政府や大学などが公表する発電コストのほか、温室効果ガス削減の国際的取り組み、15%の節電、人口減少、原発の安全対策などにかかる費用をもとに検討した。選択肢は、大きく分けて原発の「撤退」、全発電量の約30%を原子力が占める「現状の維持」、50%まで拡大する「推進」。撤退は、全原発停止の時期によって4ケースに分けた。

 現在、稼働中の原発が定期検査を迎える来夏までに全原発が停止した場合は、火力発電に切り替えた後、温室効果ガスを減らす再生可能エネルギーの比率を高めていく。国際的な削減目標を達成するための対策が本格化する2030年には、標準家庭1か月の電気料金の上乗せは、2121円と算出した。

//comment
月2,000円で全原発を廃止できるなら安いものだと思います。
posted by 北海道頑張れ at 13:43| 原発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

発送電分離:先駆けの英米では…停電頻発、安価の代償


 菅政権が検討に着手した発送電分離だが、欧米では既に取り組んでいる。先駆けとなった英国と米国の現状を報告する。

 「電気代節約のため電力会社を変えるのは日常茶飯事よ」。ロンドン市内で夫と年金生活を送るレイナ・ウルフさん(70)は話す。英国では、利用者が複数の配電会社から料金などを比較して選べる。

 市場原理を重視するサッチャー政権が電力自由化に着手。90年には国有電力会社を発電会社3社と送電会社1社に分割・民営化した。消費者に配電する小売市場も自由化された。独仏などの企業も相次いで参入。会社員のベッキー・ハバートさん(31)は自宅購入を機に電力会社選びを始めた。「調べてみてびっくり。会社によって年間200ポンド(約2万6000円)も料金が違う」と自由化の効用を強調する。

 ただ、コスト競争への対応で経営効率化を迫られ、巨額の費用が必要な発電所への投資が滞るなど自由化の弊害も出始めている。英政府は09年2月、「20年までに総額200億ポンド(約2兆6000億円)の投資をしなければ、電力供給が不足し、大規模停電が起きる可能性がある」との報告書を発表し、電力業界に警鐘を鳴らした。

 米国でも90年代以降、電力自由化が各州に拡大し、発送電分離の動きが相次いだ。09年末時点で3000社超の事業者が乱立。20年近くに及ぶ電気料金値下げ競争とコスト削減で設備投資の遅れが指摘される点は英国と共通している。特に送電網の老朽化は深刻だ。

 首都ワシントン郊外のメリーランド州ロックビル市に住むアリッサ・ウィーナーさん(43)は買い物から戻り、自宅の電気がつかないことに気づいた。「また停電ね」。動じることもなく、ランタン型の懐中電灯をテーブルに載せ、読書を始めた。「半年に1回は停電しているから慣れているの」と平然。冷蔵庫の中身は停電のたびに全て廃棄し買い直しているという。

 ワシントン周辺では年2〜3回の停電が当たり前だ。原因は雷雨や強風などだが、今年1月には10センチの降雪で24時間以上停電した地域もあった。

 カリフォルニア州で00〜01年に大停電が発生したのは、州当局の勧告を受け、電力会社が発電設備を売却するなどの発送電分離が進み、設備投資が滞ったためだ。03年にはニューヨークなどで北米大停電が発生し、電力自由化を取りやめる州も出ている。オバマ大統領が「スマートグリッド(次世代送電網)推進」を掲げたのも脆弱(ぜいじゃく)な送電網への危機感が背景にある。

 ◇日本、新規参入阻むコスト高
 「電力の品質を損なうことになればまずい」。半導体メーカーなどが加盟する日本電機工業会の下村節宏会長(三菱電機会長)は5月末の会見で、菅直人首相らが言及した発送電分離論をけん制した。半導体などの超精密機器の生産にとって電力の安定供給という品質は「命綱」だからだ。電力業界は「発送電分離は顧客への安定した電力供給の責任をあいまいにする」と発送電一括管理の重要性を主張してきた。

 確かに日本の電力の「品質」の高さは世界トップクラスだ。年間の平均停電時間は14分(09年度)で世界で最も短い。電力業界によると「風力発電の比率が高い沖縄県が台風の影響で停電が比較的多く、東京電力管内では2分」という。さらに瞬間的に電圧が低下するトラブルも超精密機器には大敵だ。だが「年数十回にも上ることがある欧米に比べ、日本はひとけた」(松村年郎名古屋大教授)と安定した電力供給が日本製品の信頼性を支えてきた面がある。

 しかし、日本の電気料金は、電力自由化が進んだ米欧よりも割高だ。インターネット通販大手、楽天の三木谷浩史社長は「電力コストが高いと国際競争力に影響する。新しい流れが必要だ」と、発送電分離を批判する経団連から脱会した。IT(情報技術)業界はデータセンターで大量の電力を必要とするため高い電気料金はマイナスに働く。

 日本も制度上は、大口需要家向けの電力小売りは自由化されている。だが、電力大手以外の販売量シェアは10年度で3・4%に過ぎず、大手の「地域独占」は崩れていない。新規事業者が電力大手の送電網を利用して送電する際の利用料が電気料金の2割程度を占め米国よりも負担が重く、参入のハードルが高いからだ。

 地域独占の発送電一貫体制の弊害は、福島第1原発事故後の東電の「計画停電」でも表面化した。大手電力同士で融通できる電力には限りがあり、大手以外の事業者は肩代わりできるほどの発電能力を持たない。東電が電力供給をストップした途端、交通網などは大混乱した。

 第二次世界大戦前の日本の電力業界は、ほぼ自由市場で数百社の電力会社が乱立していた。戦時中の国家統制による一元管理体制を経て、1951年に全国を9地域に分け、各地域を電力9社がそれぞれ独占する体制(現在は沖縄電力含め10社)がスタートした。それから60年を経て、震災と原発事故という未曽有の危機に直面し、電力システムのあり方が根底から問い直されている。

(立山清也、三沢耕平、宮崎泰宏、野原大輔、和田憲二、ロンドン会川晴之、ワシントン斉藤信宏が担当しました)

//comment
先の英国の例では、発電会社は複数あるのに送電会社が1つしかないのが気になります。送電会社を複数にするのは難しいのでしょうか。半導体工場のように品質の高い電力を必要とする人は割高な、年数回の停電を許容できる人は割安な料金体系を選択できると面白いと思うのですが。インターネットの回線やプロバイダーのように。
posted by 北海道頑張れ at 13:41| 発電 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

東電解体極秘プラン「発送電分離が焦点」


 東京電力福島第1原発事故を受け、仙谷由人官房副長官ら政権中枢が「地域独占の電力供給のゆがみ是正と東電の体制見直しを本格検討する」と事実上の「東電解体」を目指す内部文書を作成していたことが分かった。原発事故の損害賠償で政府は6月、東電を支援する原子力損害賠償支援機構法案を閣議決定したが、文書は「あくまで応急措置」と明記。文書作成に携わった政権幹部は「東電の体制見直しは発電・送電事業の分離と原発国有化が焦点となる」と断言する。

 政府が東電の賠償支援策を検討していた4月から5月上旬にかけ、東電の勝俣恒久会長は、首相官邸で賠償問題を引き受けてきた仙谷氏とひそかに会談した。勝俣氏は「東日本大震災は原子力損害賠償法が『電力会社は免責』と定める巨大な天災地変」との文書を手に免責を訴えたが、仙谷氏は一蹴し、「東電を徹底的に『仕分け』する」と迫ったという。

 関係者によると、仙谷氏の構想は、東電の送電事業(送電・変電・配電)を売却し、原発は国有化して、東電は火力、水力などの発電事業だけにする。東電の総額7兆円超の電気事業資産のうち、1・6兆円程度しか残らない計算で「原発事故の背景となった官僚的体質の温床」と指摘される地域独占は崩壊する。また、送電事業の売却益を賠償費用に充てることも可能だ。

 仙谷氏と勝俣氏の会談が数回にわたって行われているころ、経済産業省は「賠償を支払うため、16%の電気料金値上げが必要」とする賠償支援策の原案を作っていた。東電は国の資金支援を受けながら賠償を続ける一方、原発から火力発電に切り替える燃料費増を電気料金に上乗せして収益を確保し、国への返済原資とする内容だ。

 この案では、地域独占で毎年約5兆円の電気料金収入を保証されてきた東電の収益構造は温存され、原発事故のツケは電気料金値上げという形で国民に回される。「こんな国民負担は世間に通用しない」。仙谷氏は経産省幹部をどやしつけた。

 しかし、東電の11年3月期決算の発表が5月後半に控えていた。「政府の賠償支援策が固まらなければ、東電は膨大な賠償負担を背負って債務超過に陥る」との観測が広がった株式市場は大きく動揺した。

 仙谷氏ら官邸側は、やむをえず経産省案をベースに、電気料金の値上げは明示せずに政府の支援策をまとめた。同時に「今回の支援策は、あくまで東電の決算を円滑に実行し、市場を動揺させない観点から応急的に措置するもの」と指摘したうえで「東電解体」を今後本格的に検討する方針を明記した内部文書を作成し、勝俣氏に「通告」した。

 政府が支援策を決定した3日後の5月16日、枝野幸男官房長官が発送電分離について「選択肢として十分あり得る」、18日には菅直人首相も「議論すべきだ」と相次いで意欲を示した。

 ◇10年前にも浮上

 発送電分離は約10年前、当時の世界的な電力自由化の流れの中で議論されたことがある。東電と蜜月関係にあった経産省で一部の「反東電派」が中心となったが、電力業界が与党だった自民党を抱き込んで強く抵抗し、議論は頓挫した。

 東電の資産を洗い出すため政府が有識者を集め、6月に設置した「東電に関する経営・財務調査委員会」。発送電分離論者の松村敏弘東大教授らが名を連ね、リーダー役の仙谷氏は周辺に「自民党政権下で確立された電力会社を頂点とする幕藩体制を壊す」と産業構造の大転換に意欲を見せる。

 だが、菅首相は退陣を表明しており、「東電解体」の推進力を欠く。東電にOBを役員として天下りさせてきた経産省の幹部は「東電を攻めているという政治的アピールだけ。この政権はしょせん何をやっても実現しない」と冷ややかだ。
posted by 北海道頑張れ at 13:29| 発電 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月02日

【スマートグリッド最前線】被災地復興支援としてのスマートグリッド


 東北地方太平洋沖地震によって引き起こされた未曽有の広域災害、東日本大震災。地震後の津波によって、東日本の沿岸部では多くの都市が建造物からインフラまで丸ごと流失。また福島第一原子力発電所が致命的な放射能漏洩事故を起こし、再稼動が絶望的という深刻な事態も続いている。地震の影響は震源地から比較的離れた首都圏にも及び、広範囲にわたって停電が発生するなど、電力不足が発生した。

 「これまで日本の電力システムは、大型の発電所で電力をまとめて起こし、それを全国に張り巡らせた送電網を通じて消費地に分配するというやり方が主流でした。非常に効率的にできている半面、大規模災害が起こると融通がきかず、復旧にとても時間がかかる。今回の震災でそれがハッキリしたと思います」

 電力関連のソフトウェア開発プロジェクトを指揮した経験を持つ重電メーカーのある上級エンジニアは、震災被害からの復興について語る。

 「今の大規模な送電システムは技術的な成熟度が高いのですが、それだけに柔軟性に欠けています。電気エネルギーに関する新技術が生まれても、古いシステムをその新技術と調和させるのに手間がかかるため、どうしても大規模な技術革新には消極的になりがちでした。しかし、今回の震災の被害はあまりに大きいため、昔ながらのやり方に固執するメリットはあまりありません。復興にあたっては、スマートグリッドをはじめとする次世代技術を積極的に投入して、技術の進化を図るべきだと思います」

 スマートグリッド――直訳すると、知的送電網となる。何が知的かというと、電力をただ送るだけでなく、電力需要に応じて電力を蓄えたり、それを放出したりする機能を持っていること。

 今日の送電網は基本的に、発電所から電力消費地に向かって一方通行で電力を流すだけだ。大規模な発電所を中心に運用するだけならそれで充分なのだが、たとえばお天気任せなうえに夜は発電できないソーラーパネル、風次第で発電量が変わる風車など、規模が小さく、安定性にも欠ける再生可能エネルギーを接続するのには不向きだ。

 電力を蓄えられるスマートグリッドならば、再生可能エネルギーによる発電装置が機能するときに発電できるだけ発電しておき、必要な時に蓄えた分を放出することで、電力需要に対応できる。「それが極め細やかにできるだけの技術が確立され、インフラ整備を進めるだけの資金を投入できるなら、スマートグリッドにしたほうがいいに決まっている」(トヨタ自動車首脳)という意見が、世界的にみても主流だ。

 日本のみならず、世界各国が導入を目指してスマートグリッドの研究開発競争を繰り広げているが、各国とも大規模実証実験に取りかかるにも四苦八苦しているのが実情だ。スマートグリッドをどういう作りにすれば素晴らしい物になるのかという定見がまだ得られていないうえ、現時点では実証実験ということを考慮してもなお膨大な資金がかかってしまうからだ。

 その状況は日本も同じなのだが、今回の不幸な震災は日本のスマートグリッド技術を進化させる契機となる可能性がある。福島第一原発の事故によって、原発を増やしさえすれば当面のエネルギー問題が解決するというこれまでの国の構想が一気に崩れている。太陽光、風力、地熱、小規模水力など、自然由来の再生可能エネルギーを開発する必要が急速に増すにつれて、それを効率的に運用するためのスマートグリッドが現実問題として必須技術になりつつあるのだ。理想を追うのと必要に駆られるのとでは、得てして後者のほうが技術革新のスピードは速いのだ。

 もうひとつは、冒頭で述べたように津波で洗われた被災地のなかには、道路、通信網、電力網など、ライフラインがことごとく全壊し、ゼロから作り直す必要が生じていることだ。スマートグリッドを既存の電力網と調和させながら普及させることは、技術的にはいろいろ難しい課題があるとされている。が、

 「最初からスマートグリッド化を前提に再構築する場合は話は別。既存の電力網と調和させることが可能な技術として、小規模な実証実験においてすでに成果を出せているものがたくさんあります。それらを実際に投入すれば、太陽光や風力などのクリーンエネルギーをミックスした先進的なインフラを持つ都市や町に生まれ変わらせることができます」(電設メーカー幹部)

 被災地をどのように復興させるかということについて、政府は今のところ、確固たる方針を打ち出せないでいる。インフラをゼロから作るには、どのみち巨額の費用がかかることを考慮すると、さらにプラスアルファのコストを支払って最新鋭の日本発テクノロジーを投入し、グローバルスタンダードとなり得るスマートグリッドを構築することは、復興策として生産性が高いというものだ。

 もちろん、被災地の復興には先進性とともに、迅速さが必要だ。被災者は生活や経済活動を支えるに耐えるレベルのインフラが復旧するのを5年も10年も待ってはいられない。当面、導入するクリーンエネルギーは太陽光、風力、小水力など、強力さはないが比較的短期間かつ低コストなものが主体となる。それらを活かすためには、スマートグリッドの中でも規模の小さい、マイクログリッドと呼ばれる技術が有望だ。エネルギー政策に詳しいコンサルタント、柴田栄彦氏は、次のように語る。

 「期待が一番持てるのは、民家数十軒といった中規模のコミュニティ単位で電力を融通し合いながら“地産地消”するシステムではないか。電力業界には既存の利権を守ろうという力学があるから、大規模システムか、家一軒かといった選択肢しか示さないが、再生可能エネルギーのエネルギーを考えると、発電設備、蓄電設備を小規模なコミュニティで共有するシステムが最も効率がいいと思う」

 マイクログリッドをあちこちで構築しておき、後でそれらをネットワーク技術で結合すれば、結果的に大きなスマートグリッドが組み上がっていくことにもなる。被災地をスマートグリッド特区に指定し、日本の次世代のグランドデザインの発信地としていくことは、技術立国としてぜひ目指したいところではなかろうか。

 今後、スマートグリッドの技術を持った企業のキーマンに取材し、最先端の動向をこのコーナーで逐次お伝えしていくこととしたい。

《井元康一郎@RBB TODAY》
posted by 北海道頑張れ at 03:33| 発電 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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